化粧品の全成分表示には、配合量の多い順に記載するルールがあります。ただし業界の慣行として、配合量1%以下の成分は、メーカーが順番を自由に決められます。この事実を知っているかどうかで、成分表の見方がまったく変わります。
最初の3〜5成分が「主役」
多くの美容液では、最初の3つは「水、BG、グリセリン」といったベース成分。これは製品の土台で、どのブランドでもほぼ共通です。注目すべきは4番目以降に何が来るか。ここに、そのブランドが「主力」として比較的高い濃度で配合している有効成分が現れることが多いといえます。
1%以下は「並び順=配合量」ではない
ここが最も重要なポイントです。成分表の後半に並んでいる成分は、すべて1%以下の可能性が高いですが、その中での順番はメーカーが自由に決められます。
つまり、こういうことが起こります:
高価な成分名が成分表の4番目に書いてあっても、実際の配合量は0.001%かもしれない。
一方、目立たない保湿成分が後ろの方に書いてあっても、実は0.5%入っているかもしれない。
表示順だけでは、どちらが多く入っているか判断できないのです。
「〇〇配合」の本当の意味
「ヒアルロン酸配合!」「レチノール配合!」とパッケージに大きく書いてあっても、それが1%以下の微量配合であれば、期待する効果は得にくいでしょう。しかし現在の制度では、配合量の開示義務がありません。0.0001%でも「配合」と表示できます。
消費者が本当に知りたいのは「入っているかどうか」ではなく「どのくらい入っているか」です。しかし、その情報は成分表からは読み取れません。
だから、配合比率の開示が重要
有効成分の配合比率を自主的に開示しているブランドを選ぶこと——これが、成分表の限界を超える最も確実な方法です。
配合比率が開示されていれば、「この成分は有効濃度で入っているのか」を消費者自身が判断できます。成分の「有無」ではなく「量」で選べるようになる。それが、成分で選ぶスキンケアの第一歩です。
次のレベルでは、主要な有効成分の「どのくらいの濃度で効果が確認されているか」——エビデンス濃度の話に進みます。
参考文献
本記事の科学的記述が依拠する主な査読論文です。
- Kafi R, Kwak HS, Schumacher WE, Cho S, Hanft VN, Hamilton TA, King AL, Neal JD, Varani J, Fisher GJ, Voorhees JJ, Kang S. Improvement of naturally aged skin with vitamin A (retinol). Arch Dermatol. 2007;143(5):606-612. PubMed
- Mukherjee S, Date A, Patravale V, Korting HC, Roeder A, Weindl G. Retinoids in the treatment of skin aging: an overview of clinical efficacy and safety. Clin Interv Aging. 2006;1(4):327-348. PubMed