Skin Skincare University

角質層のバリア機能——レンガとモルタルモデル

LEVEL 3 肌の構造と科学
KAIAN R&D Team | | |

角質層の厚さはわずか約0.02mm——食品用ラップフィルムの半分以下。しかし、この極薄の層が外界と体内を隔てる最重要バリアとして機能しています。その構造を理解する鍵が「レンガとモルタルモデル」です。

Brick & Mortar Model / レンガとモルタルモデル角質細胞(レンガ)← 細胞間脂質(モルタル)→NMFNMF細胞間脂質の構成比セラミド 50%コレステロール 25%脂肪酸 25%ラメラ構造: LPP 13nm周期の脂質二重層

レンガ=角質細胞

ターンオーバーの最終段階で核を失い、扁平になった「死んだ細胞」が角質細胞です。これがレンガのように何層にも積み重なっています。角質細胞の内部にはNMF(天然保湿因子)が含まれ、水分を抱え込む役割を果たします。NMFの主成分はPCA(ピロリドンカルボン酸)、UCA(ウロカニン酸)、乳酸、アミノ酸などです。

モルタル=細胞間脂質

レンガの隙間を埋める「モルタル」が細胞間脂質です。その構成はセラミド:コレステロール:脂肪酸=およそ50:25:25(重量比の目安)。中でもセラミドが最重要で、これが不足するとバリア機能が大幅に低下します。

ラメラ構造——水と油の精巧な層

細胞間脂質は単なる「脂の塊」ではなく、水層と脂質層が交互に重なったラメラ構造を形成しています。特にLPP(Long Periodicity Phase)と呼ばれる13nm周期の構造が、バリア機能に決定的な役割を果たします。

TEWLでバリア機能を測る

TEWL(経皮水分蒸散量)は、皮膚からどれだけの水分が蒸発しているかを測る指標です。TEWLが高い=バリアが壊れている、TEWLが低い=バリアが健全。スキンケア製品の効果を科学的に評価する際の重要な指標です。

参考文献

本記事の科学的記述が依拠する主な査読論文です。

  1. Mao-Qiang M, Feingold KR, Thornfeldt CR, Elias PM. Optimization of physiological lipid mixtures for barrier repair. J Invest Dermatol. 1996;106(5):1096-1101. PubMed
  2. Groen D, Gooris GS, Bouwstra JA. New insights into the stratum corneum lipid organization by X-ray diffraction analysis. Biophys J. 2009;97(8):2242-2249. PubMed
  3. Kezic S, Kammeyer A, Calkoen F, Fluhr JW, Bos JD. Natural moisturizing factor components in the stratum corneum as biomarkers of filaggrin genotype: evaluation of minimally invasive methods. Br J Dermatol. 2009;161(5):1098-1104. PubMed
※本記事は化粧品成分に関する参考情報であり、効果を保証するものではありません。数値・試験結果は条件により異なります。医薬品的効能を示すものではありません。
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