真夏の紫外線は一年で最も強く、7月下旬以降は紫外線インデックスが「非常に強い」レベルに達する日も少なくありません。この夏、多くの人が見落としているのは「紫外線対策=赤くならないこと」と捉えてしまっていることです。
実際には、肌の老化に最も深く関与するのは UVB だけではなく、UVA・可視光線(HEV)・近赤外線(IR-A)を加えた四層の脅威であることが、近年の研究で明らかになってきました。
1. 四層の脅威——波長帯別に見る肌ダメージ
紫外線とその近接波長は、波長帯ごとに肌への到達深度とダメージが異なります。
特に注目されているのが HEV(高エネルギー可視光線)とブルーライトです。スマートフォンやLED照明から日常的に曝露し、屋内であっても色素沈着型のシミ(特に肝斑タイプ)を悪化させることが分かってきました。そして近赤外線(IR-A)は最も深く到達し、線維芽細胞のミトコンドリア機能を低下させ、コラーゲン・エラスチン産生能を長期的に削る「光老化の隠れた主犯」です。
2. なぜ「SPF50+/PA++++」だけでは足りないのか
SPFは UVB に対する防御指標、PA(PPD法)は UVA-I を含む UVA 全域を反映する指標です。しかし市販の日焼け止めの大半は、HEV と IR-A への防御を設計時に考慮していません。SPF50+/PA++++ を毎日塗っていても、可視光と近赤外線は素通しになっているのが、化粧品売場の標準仕様なのです。
Skin Longevity の視点では、防御は「点」ではなく「層」で設計すべきです。物理×化学×抗酸化、そして塗り忘れを前提とした24時間連続の体内抗酸化までを含めた、重ねがけが必要だと私たちは考えます。
3. KAIANの視点——Skin Longevity 型・三重設計
KAIANが推奨するUV防御は、以下の三重構造です。
- 物理ブロック層(酸化亜鉛・酸化チタン):表面で散乱・反射させる安定した防御。敏感肌でも刺激が少なく、可視光の一部もカット。
- 化学ブロック層(Tinosorb S・Uvinul A Plus):UVA-I までを広帯域で吸収。光安定性が高く分解しにくい次世代フィルター。
- 内側からの抗酸化層(VitC・フェルラ酸・レスベラトロール・リコピン・ルテイン):侵入後のROS(活性酸素種)を中和し、DNA損傷とMMP活性化を抑制。
可視光(HEV)対策には、酸化鉄を含むティント剤型(うっすら色づくタイプ)が有効です。
4. 実践プロトコル——真夏の三層防衛、24時間設計
朝(外出前):①抗酸化セラム → ②保湿 → ③物理+化学日焼け止め → ④着色酸化鉄入りファンデーション(可視光カット)
日中(2〜3時間ごと):メイクの上から塗れるパウダー・スティック・スプレー型で重ね塗り。
夜:レチノールで日中のDNA損傷を修復、ナイアシンアミドでMMP抑制、リコピン・ルテイン経口摂取で内側からの抗酸化を継続。
塗布量の目安は顔全体で約0.8g(人差し指の第一関節2本分)。多くの人は実測でこの半分以下しか塗っておらず、表示SPFの実効値は2〜3分の1まで低下しています。
5. 日焼け止めの選び方——KAIAN流「3条件」
KAIANは特定の他社製品をお勧めしません。代わりに、店頭の成分表で確認できる「条件」をお伝えします。以下を満たせば、ブランドを問わず Skin Longevity 視点で必要十分な防御が組めます。
真夏のUV最終防衛を満たす「3条件」
① 物理ブロック:酸化亜鉛(10%以上)または酸化チタン配合
② 化学ブロック:Tinosorb SまたはUvinul A Plusなど光安定性の高いUVA-I対応フィルター
③ 可視光対策:酸化鉄を含むティント剤型
※ EVOLUREシリーズでは現在UV領域の製品は展開していません。上記条件で店頭・成分表からお選びください。将来的にUV領域の展開も視野に入れています。
6. 【トレンド検証】"飲む日焼け止め"は本当に効くのか
TREND CHECK / KAIANはバズワードを科学で格付けします
SNSやドラッグストアで存在感を増す「飲む日焼け止め」。結論から言えば、これは「塗る日焼け止めの代替」ではなく「補完」です。経口抗酸化成分は塗布では届きにくい体内のROSを全身性に抑え、塗りムラ・塗り忘れを内側からバックアップしますが、紫外線そのものを表面でブロックする力は塗布剤に遠く及びません。
成分別にエビデンスの厚みを見比べると、報告の質と量に差がある傾向がうかがえます(下記は現時点の研究状況に基づく目安であり、効果を保証するものではありません)。
- PLエキス(Fernblock)【A】:MED(最小紅斑量)の上昇やCPD抑制を示すヒト試験が複数報告されており、経口光防御では比較的裏付けが厚い成分とされます。
- ニュートロックスサン【A−】:12週間の摂取で紫外線紅斑の軽減が報告された臨床データがあります。
- アスタキサンチン・リコピン【B】:抗酸化作用は知られるものの、UV防御に関する試験は数が限られます。
- 各種ビタミン単体【C】:単独の経口摂取では、光防御を裏付けるエビデンスは乏しいとされています。
飲む日焼け止めは「塗らなくてよくなる魔法」ではありません。塗布を土台に、内側から底上げする"二段構え"の一段目として捉えるのが、Skin Longevity 視点での正しい使い方です。
参考文献
本記事の科学的記述が依拠する主な査読論文です。
- Regazzetti C, Sormani L, Debayle D, Bernerd F, Tulic MK, De Donatis GM, Chignon-Sicard B, Rocchi S, Passeron T. Melanocytes Sense Blue Light and Regulate Pigmentation through Opsin-3. J Invest Dermatol. 2018;138(1):171–178. PubMed
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